アルコール依存症からの回復

アルコール依存症からの回復のステップ

ビッグブック~どうやればうまくいくのか~

私たちが進んだ道を徹底してたどって

回復できなかった人を
ほとんど知らない。


自分に正直になる能力さえあれば
ほとんど回復する。


私たちは
自分たちがいつもどんなふうだったか?
そして
何が起こって

どうなっているのか?
おおよそのところをはっきりさせる。


あなたが
私たちのもっているものを欲しいと思い
それを手に入れるためなら
何でもするという気持ちになったのなら
あなたはもう
ステップを着実に踏む準備ができたのだ。


私たちのなかには
自分の古い考えにしがみつこうとしている仲間もいたが
完全にその考えを捨てないうちは
結果は何も生まれなかった。


私たちが相手にしているのはアルコール
巧妙で、不可解で、強力なもの
である事を忘れないでほしい。
それは
助けなしには手に余るものなのだ。


もしあなたが
私たちのように深刻なアルコホーリクなら
もはや中途半端な解決方法はない。


中途半端では
どこにも行き着けなかった。
私たちは
転機に立たされていた。


私たちは
自分の人生が自分の手に負えなくなった状況まで
人間の意志では決して戻れないところにまで
踏み込んでしまっていた。


残された道は二つしかなかった。


耐えられない状況に目をつぶって
死ぬか永久に気が狂うか
行き着くところまで突き進むのか
それとも
自分なりに理解した自分を超えた偉大な力の助けを
受け容れるかだった。


あなたが今
「自分を超えた偉大な力」を見つけ出しますように!


次に
私たち草創期のメンバーが踏んだステップを
「提案」として示す。
回復のプログラムとして示されているものである。


以下
個人的な12のステップの解釈です。


1.私たちはアルコールに対して無力であり
  生きていく事が
  どうにもならなくなっていた事を認めた


2.自分を超えた偉大な力が
  私たちを正気に戻してくれると
  信じるようになった


3.私たちの意志と生き方を
  自分なりに理解した
  「自分を超えた偉大な力」の
  配慮にゆだねる決心をした


4.怖れずに
  徹底して
  自分自身の生き方の棚卸しを行い
  それを表にした


5.「自分を超えた偉大な力」に対し
  自分自身に対し
  そしてもう一人の人に対して
  自分の過ちの本質をありのままに認めた


6.こうした性格上の欠点全部を
  「自分を超えた偉大な力」に
  取り除いてもらう準備がすべて整った


7.私たちの短所を取り除いてくださいと
  謙虚に
  「自分を超えた偉大な力」に求めた


8.私たちが傷つけたすべての人のリストを作成し
  その人たち全員に進んで埋め合わせを
  しようとする気持ちになった


9.その人たちや他の人を傷つけない限り
  機会あるたびに
  その人たちに直接埋め合わせをした


10.自分自身の生き方の棚卸しを続け
   間違った時は
   直ちに
   自分の過ちの本質をありのままに認めた


11.祈りと黙想を通して
   自分なりに理解した
   「自分を超えた偉大な力」との
   意識的な触れ合いを深め
   「自分を超えた偉大な力」の
   意志を知る事と
   それを実践する「勇気」だけを求めた


12.これらのステップを経た結果
   私たちの人生に対する考えや態度が
   根本から変わり
   このメッセージを他のアルコホーリクに伝え
   そして
   私たちのすべての事に
   この原理を実践しようと努力した


「何という提案なんだ!
とてもじゃないがやり通せるものではない!」と
私たちの多くが叫んだ。


でもがっかりしないでほしい。
私たちの誰一人として
これらの原理を完全に実行できたという仲間はいないのだ。


私たちは聖人ではない。
大切なのは
私たちが
「自分を超えた偉大な力」の路線に沿って
成長したいと願っている事である。


ここに掲げた原理は成長への道標だ。


1961年
カール・ユング博士はビルに手紙を送りました。
ユング博士の手紙の内容は下記の通りです。


アルコホリズムは
「自分を超えた偉大な力」への枯渇現象であり
私が信じる回復とは
アルコホーリク一人ひとりが理解している
「自分を超えた偉大な力」へ通じる道を
彼ら自身で歩んで行くことであると考える。
そしてAAは
その道標となっていると私は信じている。


私たちは
100%「自分を超えた偉大な力」の意志に沿って
生きていく事はできない。
100%を目指して
歩み続けるのである。


ステップ1


私たちはアルコホーリクであり
自分の人生が手に負えなくなった


ステップ2


おそらくどのような人間の力も
私たちのアルコホリズムを解決できない


アルコホーリクはある時
最初の一杯に対する防御の気持ちをなくしてしまう。
ごくまれな例を除いて
自分自身であれ
他の人であれ
その一杯をやめさせられる人間はいない。


その力は
「自分を超えた偉大な力」だけが
与えてくれるのである。


「自分を超えた偉大な力」にはそれができ
求めるならばそうしてもらえる


ステップ3


私たちは
人に頼らないでも
能力さえあれば
自分の問題は自分で解決できるという考えに
囚われていた。


そういう人生は
どんなに良い事を目指していても
まず年がら年中
人との間に
あるいは何かの事で
ごたごたが絶えない。
ほとんどの人は
自分の能力で何でも進めて生きていこうとする。


自分の意志で突っ走ろうとする人生は
うまくいくものではないと受け容れる事だ。


自分本位で
利己主義
それが私たちの問題のおおもとなのだ。


人に親切であろうと努めている時でさえ
実は自分勝手ではなかったか?


私たちのほとんどは
恨みと
自分をかわいそうだと思う事に
かかりっきりになっていたのではないだろうか?


怖れ
身勝手
自己れんびん
自分の良心や本心に反している事を
心のどこかで知りながらも
それを正当化する自己ぎまん
様々なかたちのそうした感情に駆り立てられ
私たちは
人の足を踏みつける。
相手も踏み返す。
私たちが自分勝手な決断をしたために
その結果

自分が傷つく立場に立たされているという事に
いやでも気づかされる。


アルコホーリクの行動は
自分本位で、利己的
頑固な自我による極端な暴走にすぎない。
私たちはなによりもまず
この頑固な自分本位の考えを捨て去らなければならない。


私たちの多くは
道徳的な
あるいは哲学的な信念をもっていた。
しかし
それに恥じない生き方をする事はできなかった。
自分の力で頑張ってみても
望んでも
この自分勝手な思い上がりを
小さくする事さえできなかった。
「自分を超えた偉大な力」の助けが
どうしても必要だったのである。


私たちは
自分が全知全能の「神」のように振る舞う事を
やめなくてはならなかった。


私が自分勝手な思いから解放されて
あなたの意志を実行できますように
どうぞ導いてください。
私の意志ではなく
あなたの意志が叶えられますように。


ステップ4


私たちは精力的に行動を始めた。
これまでやった事のなかった
自分自身の大掃除だった。


自分のなかにある
生きていくうえでの障害となってきたものに直面し
それを手放すための絶え間ない努力をし
続けていかなければならない。


「自分の生き方の失敗」の原因となっている
自分の欠点を探し出そうとした。
いろいろなかたちで現れた利己心こそが
(利己的、身勝手、配慮の欠如)
失敗の原因だった事を確信した私たちは
その利己心がどのようなかたちで
現れていたのか考えてみた。


恨みのリストでは
自分が腹を立てている人、しきたりなどに対して
相手の名前とその理由を対比させた。
なぜ腹を立てているのか自分に尋ねてみた。
恨んでいる相手から傷つけられたのは
ほとんどの場合
私たちの
対人関係(仲間づくり)
自己評価(プライド)
身の安全(物質的安定、感情的安定)
性の関係
野心
が傷つけられており
脅かされている事が原因であった事がわかった。
それが
私たちが心を痛め
激しく怒った原因だった。


他人や
その他のものに
私たちの本能が脅かされると感じると
私たちは怖れと恨みを抱き
その怖れと恨みに囚われてしまう。
私たちのほとんどの問題は
本能がコントロールを失い
破壊的になってしまう事から生じている。


【共存本能】
もしも人間に共存本能がなく
人との交流に注意を払わなかったら
社会というものは存在しなかったろう。
~対人関係(仲間づくり)~
居場所を求め、受け容れられたいという欲求
~自己評価(プライド)~
他の人によって
自分の優越性・能力が正当に評価されることを求める
~野心~
承認欲求、評価、名声を得ようとする計画


【安全の本能】
もしも人間が
自分の安全を守ろうとしなかったり
食物の収穫や住まい造りに努力しなかったら
生き残ることはできなかったろう。
~物質的安定~
将来にあたって安全にすごすために
衣食住を求め
金銭、財産を欲しがる事。
~感情的安定~
感情的安定のため
他の人たちを必要とする事。
他人を支配したり
他人に対して依存する。
~野心~
物質的な富を得ようとする計画
他人を支配したり他人に依存したりしようとする計画


【性の本能】
もしも子孫をつくらなかったら
地球は無人の境地となっていたろう。
~公認されているもの~
社会に受け容れられている性的生活
~秘密のもの~
いかなる社会にも受け容れられていない性的生活
~野心~
性的生活に関する計画


しかし
それほどまでに私たちの存在にとって
必要な本能も
本来のはたらきをはるかに超えることがよくある。


つまり
私たちの生存に必要な本能が
コントロールを失って
破壊的なものになってしまう。


それらは強力に
盲目的に
ときには巧妙に私たちをあやつり
威圧し
そして生命まで支配しようとする。
セックスへの
物質的、感情的安定への
また社会的地位への欲望が
しばしば私たちに猛威をふるう。
そのように枠をはずれると
人間の持つ自然の欲求は
実にありとあらゆる大きな問題を引き起こす。
私たちの全ての問題は
コントロールを失った基本的本能が
もたらすものである。


どんな人間でも
どんなに立派であっても
その問題からまぬがれることはできない。
重大な感情的問題のほとんどは
本能が誤った指示を受けた場合に
見られるといっていい。
その時
持って生まれた
すばらしい資産であるはずの本能が
肉体的にも精神的にも負債に変わる。


深い恨みを抱いてすごす人生には
虚しさ
不幸以外には
行き着くところがないのは目に見えている。
恨みをそのままにしておく分だけ
もっと楽しくすごせたはずの時間が
無駄になるだけだ。


人の過ちはさておいて
私たちは
自分自身の誤りだけを断固として厳しく見つめた。
自分がどこで
利己的で
身勝手で
配慮に欠けていたか?
自分の良心に不正直ではなかったか?
情緒不安に怖れていなかったか?


何もかもが
自分のせいでそうなったのではないにしても
他人をまったく抜きにして考えてみようとした。
自分の非はどこにあるのか?
棚卸しは自分のためのものであって
他人が責任を負うべきものではない。


自分の誤りが分かれば
それを書き出し
はっきり決着を着けた。
正直に自分の誤りを認め
それをきちんと正そうという気になった。


私たちは
自分の怖れをすべて検討してみた。
恨みに繋がらないものについても
紙に書き出した。
なぜ
怖れをいだいたのか?
自分に聞いてみた。
自分の力では
十分に怖れを取り除く事はできなかった。


さて性について考えてみよう。
私たちは
過去の自分自身の行為を振り返ってみた。
私たちは
どこで自分勝手であり
配慮を欠いていたのか?
自分の良心に対して不正直ではなかったか?
誰を傷つけたか?
根拠のない嫉妬、疑惑、反感を
他人に抱かせなかったか?
自分はどこで誤ったのか?
その代わりにどうすべきだったのか?
こうした事柄をすべて紙に書き出して
見つめてみた。


自分がした事を悔い
もっと良い方向へ導いてほしいと
心から願うのであれば
私たちはゆるされ
教訓を学ぶ事になる。
だが
悔いる事を忘れて
その後もずっと人を傷つけ続けるようであれば
確実に飲むことになるだろう。
これは理論ではなく
経験から言っているのだ。


自分の行為によって傷つけた人たちをリストにし
できるだけ過去を正す気持ちになっている。


もしあなたがすでに心を決め
自分の莫大な棚卸表を作ったとすれば
あなたは回復の道を
もう順調に滑り出したのだ。


あなたは自分についての真実の大きな塊を受け容れ
消化し始めた事になる。


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