アルコール依存症からの回復

アルコール依存症からの回復のステップ

ビッグブック~仲間と共に~

実際の経験によれば
他のアルコホーリクと徹底的にかかわっていく事ほど
再飲酒を防ぐ保障になる行動はない。


他の事がみんなうまくいかなくても
これには効果がある。


アルコホーリクス・アノニマスは
経験と力と希望を分かち合って共通する問題を解決し
ほかの人たちもアルコホリズムから回復するように
手助けしたいという共同体である。


私たちの本来の目的は
飲まないで生きていくことであり
ほかのアルコホーリクも
飲まない生き方を達成するように手助けすることである。


どなような人間の力も
私たちのアルコホリズムを解決する事はできなかった。


しかしながら
アルコホリズムからの解決法を見つけ
自分自身の事がしっかりと分かっている
かつての問題ある酒飲みたちは
何時間もたたないうちに
他のアルコホーリクの全面的信頼を得る事ができる。


あなた自身の飲んだ経験が
他の人にはできない方法で
他のアルコホーリクの役に立てるのだ。


苦しんでいるアルコホーリクに手を差し伸べている者も
アルコホリズムで苦しんだ経験者である事
その状態を知り尽くしている事
その人が解決方法をもっている事が
その人の姿からあふれ出ている事
その人にあるのは役に立ちたいという善意だけで
聖人ぶっていない事。
料金を支払う必要がない事
よけいな心配はいらない事
誰のご機嫌も取らなくていい事
我慢して講義を聞く必要もない事。


こういうことに特別な効果があると
私たちは気づいた。
そうして働きかけた結果
多くの人たちがやる気を起こし
回復の道を歩き始めたのだ。


人の短所や違う意見を心から受け容れられる事
人の意見を尊重できる事
そうした態度があってこそ初めて
人の役に立つ事ができるのだと私たちは思っている。


いつも他人の事を思い
必要に応じてどう手助けするかを考える事に
自分たちの生命はかかっている。
かつての問題飲酒者である
私たち自身の生命そのものが・・・


他の誰も手助けができない時に
あなたは助けになれる。
他の誰もがうまくいかない時に
あなたは彼らの信頼を得られるのだ。


1934年12月
ビルはタウンズ病院のベッドで横になっていた時
ふと「回復の連鎖」を思い浮かべた。


ぼくにこれほど惜しげなく無償で与えられたものを
同じように手にしたいと願っているアルコホーリクは
何万人もいるに違いない。
もしかするとぼくは
その中の何人かの役に立てるかもしれない。
すると次に
その何人かが別の人たちに同じ事をする・・・


誰かが回復していき
彼らがまた他の人を助けるのを見ること
彼らの中から
孤独が消えていくのを見守ること
仲間の共同体があなたのまわりに
育っていくのを見ること
仲間がたくさんできること
こうした経験をあなたは
取り逃してはならない。


相手がまだ酒をやめたくない時は
説得に無駄な時間をかけない事だ。


本人が飲んでいる時は
彼に関わってはいけない。
むちゃ飲みが終わるまで
あるいは少なくとも
一時的におさまっている状態がくるまで待とう。
その後で
酒をやめたいかどうか?
そのためなら
何でもしようという気持ちがあるか?
本人に聞いてみよう。


彼が
私たちの持っているものを欲しいと思い
何でもするという気持ちになったのなら
そこからが
回復者であるあなたの出番となる。


彼が
あなたに会いたくないと言ったら
決して無理強いしてはならない。


あなた自身の
飲み癖
症状
経験をじっくり話すと
彼も自分の話をしたくなるようになる。
彼が話したがったらそうさせよう。


あなたの飲酒の経験を話し
酒をやめるようになったまでの話をしよう。
だがこの段階では
具体的にどうやってやめられたかについては
触れないようにする。


飲む事があなたに引き起こした
数々のトラブルについてじっくり話す。
あなたが飲んでいた頃
どんなにとっぴな事をしでかしたか
というような話もする。


彼にもそんな事があったら話してもらおう。


どんなに自分を不可解だと思っていたか
どうしてそれが病気だと分かったかも伝える。
飲む事をやめようとして
どれほど奮闘したかを話し
最初の一杯の前に頭の中がねじくれてしまう事も示す。


もし
彼がアルコホーリクなら
彼はすぐにピンとくるはずだ。
あなたの狂気を
彼は
自分の狂気と重ね合わせる事だろう。


また
彼にアルコホーリクというレッテルを
貼らないように気をつける。
それは
本人が自分で結論を出すように仕向ける。
もし
彼がまだ自分で飲む事を
コントロールできると思っているようなら
そして彼が
それほど深刻なアルコホーリクでないならば
できるかもしれないと答える。
彼の状態がかなり深刻な場合には
自分一人では回復するチャンスはまずない事を
はっきり告げる。


最初の一杯にまつわる奇妙な心の動きが
どれほど普段の意志の力の働きを妨げてしまうかを
自分の体験から話してあげよう。


アルコホリズムを
死に至る病気として話を進めよう。
自分が置かれている苦境に
気づこうとしない人の多くが
死を運命づけられている事を説明する。


彼はまだ
自分の状態を完全には認めていないとしても
あなたがどうやって良くなったのかには
興味津々のはずだ。
できる事なら
本人の口から尋ねさせたい。


あなたは
自分に何が起こったのかを
ありのままに話す。


大切な事は
「自分を超えた偉大な力」を
信じてみようという気持ちになり
もう一度
人生をやり直したいと思い
「自分を超えた偉大な力」に
意志と生き方をゆだねてみようと
「決心」した事である。


「自分を超えた偉大な力」が
決定的に重要な役割を果たすためには
意欲
正直さ
開かれた心
が必要である。


そして
私たちが自分の家庭や職場や
そして人生のいろいろな場面で
「自分を超えた偉大な力」の意志を
を具体的に実践していくことである。


私たちはどのような特定の信仰も
宗派も名乗らない。
ほとんどの宗教に共通する一般原理だけを語る。


あなたが実際に
どうやって罪を点検し
どうやって過去を正し
今なぜ
その人の助けになろうとしているのかを
説明しながら
行動のプログラムについてざっと話す。
あなたが彼にそうやって
この話を伝えていくことが
実はあなた自身の回復にとって
たいへん重要であることを彼に知ってもらう
そのことが大切なのだ。


実はあなたのほうが
もっと彼に助けられているのかもしれない。
彼は
あなたに何の拘束も受けていない事
彼が
困難を乗り切れた時に

苦しんでいる他のアルコホーリクに
救いの手を伸べる気持ちになってくれればと
願っている思いしかない事をはっきり伝える。


彼が
もう会いたくないと言ったとしても
あなたは気分を害する必要はない。
彼を助けようとした以上に
あなたが彼に助けられたのだから。


彼は
自分がプログラムにきちんと従う必要がない理由を
述べたてるかもしれない。
徹底的に自分の掃除をする事
それには他人に自分の欠点を話す必要があるという考えに
反発するかもしれない。


そういう意見に逆らってはならない。


自分も最初はそう思ったと伝える。
だが
行動を起こさなかったら
今のようになれなかっただろうという事は告げる。


時に新しい仲間は
熱意のあまり
何もかもいっぺんにやろうとする事がある。
あなたも
そうさせたくなるかもしれないが
それは誤っている場合がある。


決してアルコホーリクに
高いところから教訓的に
あるいは霊的に
見下げた調子で
呼びかけてはならない。
その気があったら
見てほしいくらいの気持ちで
ただ「回復のプログラム」を
見せるだけでよいのだ。
それが自分に
どんな効果があったかを話す。
彼に友情と仲間意識を差し出す。
もし彼が回復したいのなら
あなたはどんな手助けでも
する気持ちがあることを伝える。


彼が
心底興味をもち
あなたにもう一度会いたがっているようなら
その時までにビッグブックを読んでみるように言う。
本当にやってみる気があるかどうかは
本人が自分自身で決めなくてはならない。
あなたも
奥さんも
友人たちも
彼に無理強いをしたり
突っついたりしてはならない。
もし彼が
「自分を超えた偉大な力」を見いだすとすれば
その意欲は
彼自身の内面から出てくるものでなければならないのだ。


彼が
他の方法を使ってやめてみようというなら
自分の良心に従ってやってみるように勧めよう。
私たちは単に
自分たちにはうまくいった
一つのやり方を持っているだけなのだから。


アルコホーリクが
すぐに応じてくれなかったからといって
がっかりしない事だ。
別のアルコホーリクを
探してまたやればいい。
あなたが手渡してくれるものを
心から待ち望んでいる人が必ずいるはずだ。
あなたと一緒にやれない
あるいはやろうとしない人を
追いかけ回すのは時間の無駄である。
一人にしておけば
そのうち一人では回復できないことを
納得するはずだ。
一人のアルコホーリクに
時間をかけすぎるのは
他のアルコホーリクが生きて
幸せになれる機会を
少なくしてしまうことになる。


誰かを助ける事は
あなたの回復の基礎である。
気が向いた時だけ
親切な行為をするのではなく
苦しむ人に見返りを求めず
惜しみなく手助けする事を
毎日続けなければならない。


どんな人であっても
回復できるのだということを
一人ひとりの意識に焼き付けよう。
ただ一つの条件は
彼が
「自分を超えた偉大な力」を信じ
自分の大掃除をすることだ。


彼の家族に
彼は重い病気にかかっている事
だから治療が必要な事を力説しよう。


本人の性格上の欠点は
一夜にしてなくなりはしない事も指摘すべきだ。


私たちの考えでは
アルコホリズムとの戦いは
病人をアルコールの誘惑から
なんとかして守ろうとするものであるかぎり
どんなに工夫しても
失敗に終わるよう運命づけられている。
アルコホーリクが
自分をアルコールから隔離した場合
しばらくはうまくいったとしても
いずれは
これまで以上にむちゃ飲みに
見舞われるのがふつうだ。
私たちも
このような方法を試してみたが
所詮不可能な事をやってみたまでの事で
ことごとく失敗に終わった。


だから私たちの原則は
もしそこにいる正当な理由があるのなら
アルコールのある場所を避けない事だ。


友人たちが
酒を飲むからという理由だけで
逃げて世間から遠ざかってはならない。


危なっかしいようであれば
行かずにアルコホーリクの誰かと
かかわったほうがよい。


助けが必要とされている所へは
どこへでもためらわずに
行かなければならない。
そうした用向きのためなら
地上の最もすさんだ場所へでさえ
足を向けることも躊躇すべきではない。


飲むしきたりに対して
目くじらをたてたり
憎しみを表したりしないよう
私たちは
注意をしている。


私たちは
禁酒運動を支持も反対もしない。


いつの日か
この病気の深刻さについて
一般市民がもっと理解できるよう
アルコホーリクス・アノニマスが
手助けできるようになればと思う。
私たちの態度が
苦しみと敵意に満ちていたならば
手助けも何もあったものではない。


つまるところ
アルコホリズムは
私たちが
自分で自分にもたらしたものだった。
ボトルはほんの象徴にすぎなかったのである。


私たちは
誰に対しても
何に対しても
闘いをやめる事にした。
そうしなくてはならないのだ・・・


酒をやめる事は
ほんの始まりにすぎない。
大事な事は
私たちが自分の家庭や職場や
そして人生のいろいろな場面で
AAの原理を具体的に実践していくことである。


私たちはいつも人間関係の問題を抱えていた。
感情を思うようにできなかった。
みじめさと落込みの餌食になっていた。
生計を立てられなくなっていた。
自分は役に立たない人間だと感じていた。
怖れと不安でいっぱいだった。
不幸だった。
他の人が助けを必要とする時に助けになれなかった。


この工程を労を惜しまず
念入りにやっていると
半分も終わらないうちに
あなたはビックリする事になる。
新しい自由
新しい幸福を
知るようになっているのだ。
過去を悔やむ事もなければ
それにふたをしようとも思わない。
心の落ち着きという言葉が
わかるようになり
やがて平和を知る。
私たちがどんなに落ちぶれていたにしても
自分の経験がどれほど人の役に立つかが
わかるようになる。
自分は役立たずだという
自己憐憫の感情が消え失せる。
利己的な事に関心がなくなり
仲間の事の方に関心がいくようになる。
身勝手さは消えてしまう。
私たちの
人生に対する態度と展望がまるっきり変わる。
人間に対する恐怖症や
経済的不安もなくなる。
かつては私たちを困らせた状況にも
直観的にどう対応したらいいのかが分かるようになる。
自分ではできなかった事を
「自分を超えた偉大な力」が
やってくださっている事を
私たちは突如として気づくようになるのだ。


ステップを実践する事により
人生に対する考えや態度が
根本から変えられている事に気づく。
このプロセスが
「霊的体験」
あるいは
「霊的目覚め」である。


これはとんでもない約束だろうか。
そうは思わない。
こういうことは私たちの間で実際に
ときには急速に(霊的体験)
ときにはゆっくりと(霊的目覚め)
実現している。
取り組みさえすれば必ず実現する。


A group of A.A. people in California

(ossibly Long Beach) in the 1940's:
Bill W. is on the right
Dr. Bob is on the left
and Anne Smith (with cigarette) is in the center.

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