アルコール依存症からの回復

アルコール依存症からの回復のステップ

ビッグブック~雇用者へ~

ヘンリー・Pは
シルクワース博士から紹介された
タウンズ病院の患者の中で
1935年
初めて酒をやめた一人である。


ヘンリーは
かつてスタンダード・オイルの重役を務めた男で
持ち前のけたはずれの情熱を
ニューヨーク・グループを創始する事に降り注いだ。


1938年
アルコホーリク財団が
ビッグブックの出版費用を確保する事が
とても無理だった時
ワークス出版を設立できたのは
主にヘンリーの主張によるものだった。


彼は雇用者としての立場から
アルコホーリクについて知っている。
彼の
雇用者から見たアルコホーリクとの接し方は
ビジネスの世界におられる方々にとって
非常に有益であると思われる。


彼から語ってもらおう。


現在の雇用者の大半は
従業員の福利の確保に道義的な責任を感じており
果たそうとして努力している。
だが
アルコホーリクの従業員に対して
必ずしもそうしてこなかったのは
仕方がないともいえる。


忍耐も寛容さもなかったという雇用主はほとんどいない。


雇用者の善良さにつけ込んできた私たちは
愛想を尽かされたことに
文句を言える立場にはないのだ。


しかし
何がアルコホーリクを
いっそうおかしくしてしまっているのか?
そして
アルコホリズムという病気にかかった従業員を
救うために何ができるのか?
という理解や知識が
雇用者に欠けているケースも多い。


ほどほどに飲む人は
飲みたければ飲むし
飲みたくなければ飲まない。
コントロールがきく。

ちょっと飲みすぎたと思っても
翌朝
起きた時には
頭をシャキッとさせて仕事に出かけられる。
彼らにとって
酒は大した問題ではない。
だから
意気地なしか愚か者でもなければ
誰だって
同じようにできるはずだと思ってしまう。


アルコホーリクに向き合うと
なぜ人はこれほどまでに弱く
愚かで
しかも
無責任になってしまうのか?
といった苛立ちに悩まされるだろう。


この病気について
かなり理解していても
こういった感情はわいてくる。


職場のアルコホーリクを見ていると
いろいろな事が分ってくる。
彼らはたいてい
優秀で
頭の回転も速く
想像力に富み
好ましい人物ではないだろうか?
飲んでいない時は
実によく働き
うまく仕事をこなす才能に
たけているのではないだろうか?
それほどにもよい資質があるならば
飲まなかったとしたら
雇っておく価値のある人ではないだろうか?
彼を救済する価値があるのではないか?


あなたの答えが[「Yes」なら
それが人道的であれ
仕事上の理由であれ
あるいは両方であれ
次の提案が参考になるはずだ。


あなたが
彼の問題は単なる悪い癖
頑固さ
あるいは
意志が弱いだけだと思っているなら
今そのような感情を
あなたには捨てられるだろうか?


もしそれが難しいなら
アルコホリズムという病気について詳しく説明した
ビッグブックの
第二章「解決はある」
第三章「さらにアルコホリズムについて」
を再読される事をお勧めする。


あなたの部下が病気である事を認めたとして
過去に彼がしでかした事をゆるせるだろうか?
過去のバカげた行いを忘れる事ができるだろうか?
それは
アルコールが
脳に働きかけた結果
考え方がゆがみ
そのために起こった事で
彼も犠牲者なのだと
認める事ができるだろうか?


アルコホーリクの
異常さ
常軌をはずれた脱線など
たとえそれがどれほど酷いものであれ
アルコールが
彼の脳と精神に及ぼした
異常な作用のせいなのだ。


アルコホーリクはみな
飲んでいない時は正直で
実直だといっているのではない。


あなたの部下に
酒をやめる気がないのが
はっきりしているのならば
首にしたほうが
それも
できるだけ早いうちにそうしたほうがよい。
そんな人間をずるずる雇っておく事は
本人のためにもならない。
彼には
そんな揺さぶりが必要なのだ。


私の経験から言えば
職場での地位を保っていられる限り
自分が
実はどれほどひどい状況にあるのかに
気づく事はできなかった。


もし
会社が私をまず解雇したうえで
ビッグブックに書かれている解決方法を
私に示すという段取りを取ってくれたのなら
半年後には
私は
回復者として彼らの前に姿を現す事もできただろう。


だが
アルコールをやめたいアルコホーリクもいる。
やめる気があるアルコホーリクについては
あなたの
理解あるかかわりは報われるだろう。


あなたは
彼の飲酒の事を知っており
飲酒をやめるようにはっきり言う。
彼の能力を評価しているし
何とか職場で活躍してほしいが
飲み続けるならば
職場に置いておく事はできない事を伝えよう。
この時に
断固たる姿勢を示された事で
私たちの多くは助かった。


アルコホーリクは
ほとんどがアルコールのために考えがゆがみ
毒されているために
やめたがらないのだが
彼に
やめる気があるか聞いてみる。
アルコールをやめるためなら
何でもするという気持ちはあるかと。


僕はいま
アルコホリズムについて勉強している。
もし
君がアルコホーリクなら
君はかなりの病人なんだ。
君の振る舞いはまさしくそうだ。
会社は君が回復するのを助けたいし
もし君にその気があるなら方法はある。
もしその方法に従う気があるなら
今までの事は水に流す。
君が治療のために
会社を休んでいる事も他言されない。
でも
もし君がやめられないなら
あるいは
やめる気がないなら
君は退職すべきだと思うよ。


本気で回復したいと願い
そのためなら何でもするという
彼の覚悟が確認できたら
彼に
はっきりとした行動の方向を提案するとよい。
今も飲んでいる
あるいは
大量の飲酒を切ったばかりのアルコホーリクの大半は
ある程度の身体的な治療が望ましく
また不可欠である。


彼が
あなたの提案を受け容れたとしても
肉体的な回復は
全体のほんの小さな一部にすぎない事を
彼に指摘しなくてはならない。


飲酒の問題から回復するためには
人生に対する考えや態度を
根本から全面的に変える必要がある。


ビッグブックを読み
ステップを実践する事で
人生に対する考えや態度を
根本から全面的に変える事が達成できるものと
私たちは確信している。


ビッグブックの提案に
従わなければいけないような事は
誰も
本人に言わないほうがよい。
それは
本人が自分で判断すべき事だ。


私たち
アルコホーリクの最大の敵は
恨み
怖れ
嫉妬
妬み
である。
人が仕事で集まれば
それがどこであれ
必ず競争相手が現れ
そこからは
ある程度の仕事上の駆け引きも出てくる。


私たちアルコホーリクは
みんなが私たちの足を引っ張ろうとしている
と考えがちである。


雇用者は
えこひいきをしてはならないが
アルコホーリクである彼を
不必要な挑発や不正な批判から守る事は可能である。


アルコホーリクの多くは熱狂的である。
極端から極端に走る。
あなたの部下は
これまでの事を挽回しようと発奮するだろう。
だが
彼らは
心身ともに弱っているし
アルコール抜きで
人生に適応しようとして
度を超して頑張るかもしれない。
1日に16時間も働こうという彼の意気込みに
ブレーキをかける事ができるのはあなたである。


彼が
一度でもつまずいた場合
あなたは彼を首にするかどうか
決めなくてはならないだろう。
彼が
本気でアルコールをやめたいと
思っていないようなら
彼を首にするのは当然である。
だが
彼が精一杯
最善をつくしているのだと思えたら
彼にもう一度チャンスを与えたいと考えるだろう。


けれども
あなたは
自分の義務をもうとっくに果たしたのだから
彼を
雇い続ける義務はないという
気楽な気持ちでやるべきである。


つまり
要約するとこうなる。


誰一人として
アルコホーリクだからという理由で
解雇されるべきではない。
もし
本人が飲む事をやめたければ
その機会が提供されて当然である。
だが
本人がやめたくない
あるいは
やめられないなら
彼は首にされて当然である。


このやり方を採用すれば
幾つかの成果が期待できる。


アルコホーリクであるが
頑張っている部下の治療が可能になる。
同時に
アルコールをやめられない
あるいは
やめようとしないアルコホーリクたちを
あなたが
首にする事にためらわなくてすむようになる。


アルコホリズムは
あなたの会社に相当な損失を与えているはずである。
時間の浪費
労力の無駄
評判の下落などである。


私たちのこの提案が
このような深刻な浪費を防ぐ役に立てばと思う。


私たちが
雇用者であるあなたに
そういう無駄をやめて
アルコホーリクであるが
価値ある人材にチャンスを与えなさいと主張するのは
実に理にかなった提案であると考えている。


しかし
ある従業員がアルコホーリクだからといって
その人だけに
不釣り合いなほどの時間と関心を注いではいけない。
えこひいきもしてはならない。


アルコホリズムが会社に毎年
どのくらいの経費の負担を課しているかを
雇用者が知ったら
さぞ驚くに違いない。
会社は
多くのアルコホーリク
あるいは
アルコホーリク予備軍をかかえているはずだ。


雇用者は
この問題がどんなに深く社会に浸透しているかを
たいがいは知らないのだ。


自分の会社には
アルコホリズムの問題はないと思っていたら
よく目を凝らしていただきたい。
面白い発見をするかもしれない。


ドクター・ボブは
グッドリッチ、グッドイヤーと交渉し
最終的に
3つのタイヤメーカーと協定を結ぶことができました。
その会社の従業員に
飲酒の問題があって
酒をやめる事が必要な場合には
会社のほうから
私たちに連絡が来ることになり
反対に
AAで酒をやめた人が仕事を探していれば
こちらから会社のほうに連絡したのです。
1940年代の数年間
私たちはこの協定を実施し
円滑に運用されていました。
ドクター・ボブが関与している審査会までありました。
この審査会では
該当者に
AAへの参加を強くうながす書状を発行していました。


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