アルコール依存症からの回復

アルコール依存症からの回復のステップ

12&12~ステップ4~

怖れずに
徹底して
自分自身の生き方の棚卸しを行い
負債と資産を表にした



負 債
恨み、怒り、怖れ
嫉妬、妬み、自己憐憫、自己非難
高慢、自惚れ、誤ったプライド
自己正当化、自己欺瞞
利己的、身勝手、配慮の欠如、不正直、怠惰


資 産
寛容、許し、忍耐、落ち着き、勇気
自信、受容、感謝、自己評価
謙虚、慎み、素直、自己受容
利他的、協調、思いやり、正直、行動



創造主は
ある目的のために本能を与えた。
本能なくして完全な人間とはいえない。


【共存本能】
もしも人間に共存本能がなく
他者との交流に注意を払わなかったら
社会というものは存在しなかったろう。
~仲間づくり~
居場所を求め、受け容れられたいという欲求
~自己評価~
他者によって
自分の優越性・能力が正当に評価されることを求める
~野心~
承認欲求、社会的地位、名声を得ようとする計画


【安全の本能】
もしも人間が
自分の安全を守ろうとしなかったり
食物の収穫や住まい造りに努力しなかったら
生き残ることはできなかったろう。
~物質的安定~
安全にすごすために
衣食住を求め
金銭、財産を欲しがる事。
~感情的安定~
感情的安定のため
他者を必要とする事。
他者を支配したり
他者に対して依存する。
~野心~
物質的な富を得ようとする計画
他者を支配したり他者に依存したりしようとする計画


【性の本能】
もしも子孫をつくらなかったら
地球は無人の境地となっていたろう。
~公認されているもの~
社会に受け容れられている性的生活
~秘密のもの~
いかなる社会にも受け容れられていない性的生活
~野心~
性的生活に関する計画


これらの欲求
性的な関係
物質的、感情的な安定
そして仲間作りへの欲求は
本当に必要で正当なものであり
それはまぎれもなく
神から与えられたものである。
人間はこうした本能を
有する存在である。


しかし
それほどまでに私たちの存在にとって
必要な本能も
本来のはたらきをはるかに超えることがよくある。


つまり
神から与えられた
私たちの生存に必要な本能が
コントロールを失って
破壊的なものになってしまう。


それらは強力に
盲目的に
ときには巧妙に私たちをあやつり
威圧し
そして生命まで支配しようとする。
セックスへの
物質的、感情的安定への
また社会的地位への欲望が
しばしば私たちに猛威をふるう。
そのように枠をはずれると
人間の持つ自然の欲求は
実にありとあらゆる大きな問題を引き起こす。
私たちの全ての問題は
コントロールを失った基本的本能が
もたらすものである。


どんな人間でも
どんなに立派であっても
その問題からまぬがれることはできない。
重大な感情的問題のほとんどは
本能が誤った指示を受けた場合に
見られるといっていい。
その時
持って生まれた
すばらしい資産であるはずの本能が
負債に変わる。


他者や
その他のものに
私たちの本能が脅かされると感じると
私たちは怖れと恨みを抱き
その怖れと恨みに囚われてしまう。
私たちのほとんどの問題は
本能がコントロールを失い
破壊的になってしまう事から生じている。


自分の本能を理由もなく他者に押しつけると
そのたびに不幸なことが起こる。
まわりの人たちを踏みつけにして
富を追い求めれば
怒り、妬み、恨みをかう。


他者に過剰な親切や保護や愛情を求めると
その人に支配されてしまうか
家族にすら嫌われてしまう。


支配への欲求が抑制できなくなってくると
他の人々に迷惑をかけ
反感を抱かせる。


この本能の衝突によって
冷笑なあしらいから
荒れ狂う革命にいたるまで
あらゆる争いが生じてくる。


私たちは
生存に必要な本能がコントロールを失って
破壊的なものになってしまい
怖れ
恨み
罪悪感
後悔のため
不安と欲求不満と意気消沈を
紛らわせるために飲んだ。
虚栄心にかられ
虚飾と権力のバカげた夢を
もっと享楽しようとして飲んだ。



人間は全く同じではあり得ないから
私たち一人ひとりが棚卸し表を作成する時には
自分固有の性格上の欠点が何であるかを
見極める必要がある。


これらの欠点の呼び名について混乱を避けるために
世に広く知られた「七つの罪源」と言われる
人間の大きな弱点を取り上げてみよう。


高慢、嫉妬、暴食、怠惰、貪欲、好色、怒り


私たちの弱点である「七つの罪源」は
私たちに怖れをもたらす。
その怖れは次に多くの性格上の欠点を生み出す。
本能が満たされないことへの理由なき怖れが
私たちを駆り立て
他人の持ち物を欲しがり
セックスと権力を渇望する。
本能的欲求が脅かされると怒り
他人の望みだけが叶っているように
見える時には嫉妬する。


私たちは
次のような結論に達した。


方向を失った本能に象徴される性格上の欠点こそが
酒におぼれ
人生につまずいた第一の原因だった。
いまやこれらの欠点を取り除く努力をしなかったら
飲まない生き方も心の平和も訪れない。


それでは
棚卸し表の作成はどのようにすれば良いのだろうか?


最初は欠点のなかでも特にやっかいな欠点
かなり目立った欠点から点検することを勧める。
共存本能、安全本能、性本能といった
基本的な本能関して
何が正しく何が誤っていたのかを良く見極めながら
自分の行動を点検してみるとよいだろう。


「自分の生き方の失敗」の原因となっている
自分の欠点を探し出そうとした。
いろいろなかたちで現れた利己心こそが
(利己的、身勝手、配慮の欠如)
失敗の原因だった事を確信した私たちは
その利己心がどのようなかたちで
現れていたのか考えてみた。


私たちは
他者との真の協力関係を築きあげる能力が
自分に全くないという重大な事実に気づかなかった。
このような極端な自我が
2つの不幸な落とし穴を掘ることになる。


つまり
他者を支配しようとするか
そうでなければ
他者に依存しすぎてしまうということだ。


他者を支配しようとすれば
その人は反感をもち
激しく抵抗するだろう。
すると私たちは傷つき
裏切られたと感じ
報復を望むようになる。


他者に依存しすぎると
遅かれ早かれその人は
私たちを見捨てることになる。
なぜならその人も人間であり
私たちの絶え間ない要求に
応じきれなくなるからだ。
こうして私たちの不安はつのり
うずくようになる。


私たちは
家族や友人や同僚たちと
とけこもうとしなかったし
社会の有用な一員になろうともしなかった。
いつも集団のトップになろうとするか
そうでなければ
集団の陰に隠れようとしていた。


この自己中心的な行動のせいで
私たちは周囲の誰とも
協力関係を築くことができなかった。


恨みのリストでは
自分が腹を立てている人、しきたりなどに対して
相手の名前とその理由を対比させた。
なぜ腹を立てているのか自分に尋ねてみた。
恨んでいる相手から傷つけられたのは
ほとんどの場合
私たちの
対人関係(仲間づくり)
自己評価(プライド)
身の安全(物質的安定、感情的安定)
性の関係
野心
が傷つけられており
脅かされている事が原因であった事がわかった。
それが
私たちが心を痛め
激しく怒った原因だった。


他者や
その他のものに
私たちの本能が脅かされると感じると
私たちは怖れと恨みを抱き
その怖れと恨みに囚われてしまう。
私たちのほとんどの問題は
本能がコントロールを失い
破壊的になってしまう事から生じている。


人の過ちはさておいて
私たちは
自分自身の誤りだけを断固として厳しく見つめた。
自分がどこで
利己的で
身勝手で
配慮に欠けていたか?
自分の良心に不正直ではなかったか?
情緒不安に怖れていなかったか?


何もかもが
自分のせいでそうなったのではないにしても
他者をまったく抜きにして考えてみようとした。
自分の非はどこにあるのか?
棚卸しは自分のためのものであって
他人が責任を負うべきものではない。


自分の誤りが分かれば
それを書き出し
はっきり決着を着けた。
正直に自分の誤りを認め
それをきちんと正そうという気になった。


私たちは
自分の怖れをすべて検討してみた。
恨みに繋がらないものについても
紙に書き出した。
なぜ
怖れをいだいたのか?
自分に聞いてみた。


たいていのアルコホーリクは
感情と経済の不安を経験している。
自分のどのような欠点が
怖れを引き起こしたのか?


怖れは
本能が脅かされると
いつでも起こり得ることを忘れてはならない。


自分のわがままや不当な要求のせいではないのか?


飲酒の問題に加えて
どんな性格上の欠点が経済的不安を導いたのか?


仕事の適正についての不安や劣等感で自信を無くし
それが心の葛藤の原因にならなかったか?


むちゃな浪費をしていないか?


返せるかどうかも考えずに
向う見ずな借金をしなかったか?


家族を養う金すら出し惜しんだことはないか?


自分の生き方を
あるがままの状況に合わせていただろうか?


さて性について考えてみよう。
私たちは
過去の自分自身の行為を振り返ってみた。
私たちは
どこで自分勝手であり
配慮を欠いていたのか?
自分の良心に対して不正直ではなかったか?
誰を傷つけたか?
根拠のない嫉妬、疑惑、反感を
他人に抱かせなかったか?
自分はどこで誤ったのか?
その代わりにどうすべきだったのか?
こうした事柄をすべて紙に書き出して
見つめてみた。


家族から自分が拒否されているから
あるいは冷たくされているからといって
それを浮気の理由として利用しなかったか?


自分がした事を悔い
もっと良い方向へ導いてほしいと
心から願うのであれば
私たちはゆるされ
教訓を学ぶ事になる。
だが
悔いる事を忘れて
その後もずっと人を傷つけ続けるようであれば
確実に飲むことになるだろう。
これは理論ではなく
経験から言っているのだ。


自分の行為によって傷つけた人たちをリストにし
できるだけ過去を正す気持ちになっている。


結婚生活を台無しにして
子どもたちを傷つけなかったか?


自分を過大評価して
大物ぶったことはないか?


消すことのできない罪の意識に
さいなまれなかったか?



棚卸しをするにあたっては
「徹底する」ことが欠かせない。
質問と答えを書くのは賢明なやり方だ。
それは
明快な思考と正直な評価を促し
回復したいという
私たちの曇りない意欲を示す確かな証しとなる。



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