アルコール依存症からの回復

アルコール依存症からの回復のステップ

ビッグブック 医師の意見

アルコホリズムの自己診断が難しいのは
アルコホリズムがアルコホーリクに


「おまえはアルコホーリクではない。大丈夫だ」と
ささやきかけるからです。


アルコホーリクは誰でも
二つの事を知りたがります。


一つは
自分がどうして昔のように
普通に酒を飲む事ができないのか?


アルコホーリクは
アルコールに対して
アレルギーを持っているので
一杯飲むとアレルギー反応が起きて
アルコールを求める
身体の渇望が引き起こされる。
いったん飲み始めると
やめられなくなるのはそのためなのだ。


もう一つは
酒をやめたいのに
どうしてやめられないのか?


アルコホーリクは
いつかきっと
普通の人のように酒をたしなむ事が
できる日が来ると信じているが
しかし
アルコホーリクが
普通の人のように
飲めるようになる事はない。
にもかかわらず普通の人のように
飲みたい、酔いたいというアルコホーリクの執念は
あまりにも強烈だから
いくら断酒を誓っても
「一、二杯なら・・・」
という考えに引き戻され
適量でやめられるはずだと思い込んで一口飲む。


すると
アレルギー反応が起きて
次々と飲み続けずにはいられなくなる。


ウィリアム・ダンカン・シルクワース博士
~酔っぱらいを愛した小柄な医師~


ウィリアム・シルクワース博士は
1873年
ニューヨークのブルックリンで生まれました。


博士が1900年にベルビュー病院で
インターンととして働き始めた時
自分には
「酔っぱらい」に関わる特別な才能があると
気づきました。


1929年に株式市場が暴落した時
個人診療所を失いましたが
タウンズ病院に職を得て
再びアルコホーリクの治療に取り組みました。


しかし
ビル・Wが現れるまで
自分が診たアルコホーリクのなかで
確実に回復した患者は2%程度だったと述べています。
博士は経験を通して
アルコホリズムは
絶望的な状況をもたらす病気であると確信しました。
博士は
アルコホーリクが抱える問題を完全に理解し
それを言葉で表した最初の医師です。
博士は
アルコホリズムの問題の全体像を
初めて正確に示しました。


1930年
ウィリアム・シルクワース博士は
タウンズ病院でアルコホーリクの治療に取り組む中で
アルコホーリクはアルコールに対する
身体的アレルギーと精神的脅迫観念という
治る見込みのない病気にかかっていると認識しました。


身体的アレルギー:渇望現象
精神的強迫観念:欲求に負けて飲む衝動
普通の人のように
飲みたいというアルコホーリクの執念


アルコホーリクの精神が
最初の一杯を飲ませ
次に
アルコホーリクの身体が
飲み続けさせる。


シルクワース医師は
ある事を強調しておられる。
すなわちアルコホーリクの身体が
精神と同様に異常だという事だ。
私たちは
人生にうまく適応できないから
現実から完全に逃れたいから
あるいは精神がまったくおかしいから
飲酒をコントロールできないのだと言われても
納得できなかった。
それは事実だし
かなりのところまで言い当ててもいる。
だが
私たちは自分の身体もまた病んでいると確信している。


シルクワース博士は下記のように述べられている。


アルコホリズムがあくまでも
精神のコントロールの問題だという立場には
私は同意しかねる。
たとえば
アルコホーリクがビジネス上の取引に何ヶ月も取り組んできて
ある日
それがうまく解決できるような見通しがたったとしよう。
彼は
その大切な日を前に一杯飲んでしまい
すると
いっぺんにアルコールへの渇望現象が他の何よりも強くなって
結局その大切な約束の日に
身動きができなくなるというような例を
私は多く見てきた。
彼らは逃避するために飲んだのではなく
自分の精神ではコントロールできない
身体的な渇望に屈して飲んだのである。


アルコホーリクに共通する症候がある。
飲み始めたら最後
必ず渇望現象が増進するという事だ。
この現象は私たちが以前提言したように
アルコホーリク特有のアレルギーの症候であり
彼らを他と明確に分けるものである。
私たちの知るかぎり
これまでにこの症候を根治できる治療法はなかった。
唯一の解決法は
まったく飲まないことしかないと
言わざるをえないのである。


アルコールを渇望する現象は限られた人にしか起こらず
普通のアルコール好きには見られない。
このアレルギーをもつ人間は
どんなかたちでも
アルコールを二度と安全には体に入れられない。
またいったん破滅に至るような飲み方が癖になって
どうにもならなくなると
自信も
社会生活への信頼も失ってしまう。
問題は暗礁に乗り上げ
解決する事は困難になる。


人は本質的に
アルコールがもたらす酔いの効果が好きで飲む。
その感覚は実につかまえどころがなく
危険であると思っても
やがてその判断の真偽がつかなくなっていく。
アルコホーリクにとっては
飲む生活だけが唯一の日常になる。
飲んでいない時のアルコホーリクは
落ち着きがなく
イライラが強く
不機嫌であって
飲んでいっぺんにふっと楽になる感覚を
再び体験せずにはいられない。
普通の人にとって飲む事は何の差しさわりもないのだ。


そこで
多くのアルコホーリクは欲求に負けて飲み始める。
すると
アルコールへの渇望現象につかまる。
そこでお決まりの段階が始まり
飲みすぎては
後悔に襲われ
もう絶対に飲まないと
固い決心をするということが
何度も何度も繰り返される。


私たち医師は長い事
アルコホーリクには
何らかのかたちの道徳心理学が必要で
それが差し迫った事であるとも認識していたのだが
その実際の適用については
私たちの構想ではどうにもならない困難があった。
何にでも科学的にアプローチするという
超近代的な基準をもつ私たちは
人間の知識を集めたものを超えたところに存在する
「善の力」を使うなどというやり方には
不慣れでついていけない。


アルコホーリクが根底から変化をもたらすためには
人間の知恵を超えた何かが必要なのではないか。
多くのアルコホーリクは通常の心理的手法に
まったく反応を示さないからである。


アルコホーリクが人生を何とかやり直そうとする時
彼ら自身を超えた偉大な力に
根ざしたものでなくてはならないと思う。


霊的変化が全面的に起こらなければ
その人には回復の希望はほとんどないだろう。


霊的体験による人格の変化が起きると
もう見放されたも同然だった人が
アルコールへの欲求を
簡単にコントロールできるようになる。
そのために必要な努力は
いくつかの簡単なルールに従う事である。


解決はどこにあるのか?


すべてのアルコホーリクに
ビッグブックを通読される事を心から勧める。
あなたはたとえ
初めは冷やかしで読み始めたとしても
ついにはとどまって祈る事になるにちがいない。


医学博士
ウィリアム・ダンカン・シルクワース


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