アルコール依存症からの回復

アルコール依存症からの回復のステップ

ビッグブック~解決はある~

私たちは

出身地も、職業も様々なら
政治的、経済的、社会的、宗教的背景もいろいろで
普通なら出会う事さえもなかった者同士だ。
だが私たちのなかには
言葉では言い表せないような素晴らしい
仲間意識と友情と共感がある。


私たち
一人ひとりにとっての偉大な事実は
私たちが共通の解決方法を見つけたという事にある。


アルコホリズムは
本人のまわりの人間たちの人生をみな巻き添えにしてしまう。
誤解や深い恨み
経済的不安定
うんざりしている友人
愛想を尽かした雇い主
罪のない子供たちの狂わされた人生
悲しみにくれる妻や親たち・・・


アルコホーリクは
他人の人生を巻き添えにして巻き上がる竜巻のようなものだ。
心は傷つき
優しい人間関係は死に絶え
愛情はとっくに干からびた。
自分勝手で
思いやりのない行動が
いつも絶え間ない喧噪の真っただ中に家族を陥れて来た。


たとえ有能な精神科医たちであっても
アルコホーリクへの説得は
不可能な場合が多かった。


しかしながら
アルコホリズムからの解決法を見つけ
自分自身の事がしっかりと分かっている
かつての問題ある酒飲みたちは
何時間もたたないうちに
他のアルコホーリクの全面的信頼を得る事ができる。


共感がなければ何をしても無駄なのである。


苦しんでいるアルコホーリクに手を差し伸べている者も
アルコホリズムで苦しんだ経験者である事
その状態を知り尽くしている事
その人が解決方法をもっている事が
その人の姿からあふれ出ている事
その人にあるのは役に立ちたいという誠意だけで
聖人ぶっていない事。
我慢して講義を聞く必要もない事。


他の誰も手助けができない時に
あなたは助けになれる。
他の誰もがうまくいかない時に
あなたは彼らの信頼を得られるのだ。


人の短所や違う意見を心から受け容れられる事
人の意見を尊重できる事
そうした態度があってこそ初めて
人の役に立つ事ができるのだと私たちは思っている。


いつも他人の事を思い
必要に応じてどう手助けするかを考える事に
自分たちの生命はかかっている。
かつての問題飲酒者である
私たち自身の生命そのものが・・・


ほどほどの酒飲みなら
飲む事も、飲まない事もできる。


大酒飲みのタイプは
徐々に身体も心もむしばまれていくような
たちの悪い飲み方をする。
しかし
健康状態がかんばしくない
医者から警告されているなどの理由があれば
飲む事をやめるか
控える事がまだできる。


本物のアルコホーリクは
最初は適度に飲めているかもしれない。
そのうち
大酒飲みになるかもしれないし
大酒飲みにならないかもしれない。
だが
飲み続けているうちに
ある段階で
飲酒の量に対するコントロールを失い始める。


一杯飲んだら必ず総崩れが始まり
たいへんな苦悩と屈辱に苦しむ事を
本人は百も承知なのに
まぜ最初のその一杯に手を出してしまうのか?
なぜ飲まずにはいられないのだろう。
他の事について示す事ができている
常識と意志の力は
いったいどうなってしまったというのか?


つきつめたところは
結局本人にも分からない。


アルコホーリクには
何とかして
いつかこの勝負に勝つという
強迫観念がある。
けれども
いつかはきっと
ノックアウトされるだろうという事も
うすうす感じている。


家族や友人は
いつの日か彼らが無気力から立ち上がって
意志の力を使い始める事を期待して待っているのだ。


もし彼が本物のアルコホーリクなら
そんな日は決して来ないというのが悲しい真実だ。
彼は飲酒に対するコントロールを失ってしまったのだ。
どのようなアルコホーリクも
酒を飲み続けているある時に
どんなにやめようと強く決意をしても
全くどうにもならなくなる状態に入ってしまう。


ほとんどのアルコホーリクは
飲酒に対する選択能力を失ってしまっている。
いわゆる意志の力というものも
事実上
存在しなくなる。


たった一週間前の
あるいはひと月前の飲酒が自分にもたらした
苦悩と屈辱の記憶を思い出して
意識にのぼらせる事さえも
どうしてもできなくなってしまう。


だからアルコホーリクは
最初の一杯に対してまったく無防備になる。


1931年
アルコホリズムに苦しむ
ニューヨークの投資銀行家の
ローランド・ハザードがスイスを訪れ
著名な心理学者カール・ユング博士に
助けを求めました。
ユング博士はローランドに
霊的な経験を通じて人格が変化すれば
飲まないでいられる望みがあると述べました。



ユング博士
君の頭は慢性的なアル中の頭だ。
君のような状態になった人で
これまで回復した人は一人も見た事がない。


ローランド
例外は一つもないのですか?


ユング博士
君のようなケースでの例外は
ずっと以前からあった。
時々
あちこちの場所で
アルコホーリクが
いわゆる決定的な霊的体験を経験している。
普通とは言えない現象なのだが。
それはいままでの情緒が大きく変わって
新しくなるといった事のようだ。
ずっともっていた人生への考えや情緒や態度が
突然取り除かれて
それに代わる新しい考えと
生きていく動機が支配し始める。


ローランドはニューヨークに戻り
オックスフォード・グループを探しました。


~オックスフォード・グループ運動~
道徳再武装運動ともよばれる。
1921年アメリカのルター派教会牧師
ブックマンによって始められた宗教運動。
1908年イギリスのケズウィックで開かれた
宗教集会で回心を体験した彼は
以後、人間および社会の改革のために必要な
霊的回心と奉献を得る手段として
グループにおける罪の相互告白と決意表明を強調した。
初めオックスフォード大学の学生に回心を説き
ついで南アフリカ、中近東、スイスなどに運動を展開し
1938年以降は愛他主義による
「道徳再武装」Moral Re-Armament(MRA)を唱えた。


オックスフォード・グループの「4つの絶対標準」


「絶対正直」、「絶対純潔」、「絶対無私」、「絶対愛」


オックスフォード・グループの教義は


降伏
意志と生き方を
自分なりに理解した神の配慮に
ゆだねる決心をすること


罪の点検
自分の過去を道徳的に棚卸しすること


告白・分かち合い
短所を認めて告白すること


償い
傷つけた人たちへ埋め合わせをすること


神の導き
神への信仰と依存が必要であること


証し
他の人の手助けをすること


キリスト教では
神さまから頂いた恵みを人に伝えることを
「証(あかし)をする」と言いいます。


ローランド・ハザードは
オックスフォード・グループに加わって
その教義を実行しました。


すると
探し求めた変化と霊的な経験が
彼のうちに生まれ
彼は死ぬまで飲まずにすごせたようです。


1961年
カール・ユング博士はビルに手紙を送りました。
ユング博士の手紙の内容は下記の通りです。


アルコホリズムは
「自分を超えた偉大な力」への枯渇現象であり
私が信じる回復とは
アルコホーリク一人ひとりが理解している
「自分を超えた偉大な力」へ通じる道を
彼ら自身で歩んで行くことであると考える。
そしてAAは
その道標となっていると私は信じている。


もしあなたが
私たちのように深刻なアルコホーリクなら
もはや中途半端な解決方法はない。


中途半端では
どこにも行き着けなかった。
私たちは
転機に立たされていた。


私たちは
自分の人生が自分の手に負えなくなった状況まで
人間の意志では決して戻れないところにまで
踏み込んでしまっていた。


残された道は二つしかなかった。


耐えられない状況に目をつぶって
死ぬか永久に気が狂うか
行き着くところまで突き進むのか
それとも
自分なりに理解した自分を超えた偉大な力の助けを
受け容れるかだった。


自分を超えた偉大な力が
私たちを正気に戻してくれると
信じるようになった


私たちは
やってみようという意欲と
正直さと
開かれた心が備わったその時に
自分の人生に対する態度が根本から変えられている事
また
そうした変化は決して自分だけの力で
もたらされたものではない事に気づく。
つまり私たちは
一人ひとりが深い魂の奥底にひびく体験をした。
自分が思いもよらぬ内的な資源を掘り当てた事を知る。


これが
私たちがそれぞれに理解した
「自分を超えた偉大な力」と呼ぶものである。


この
「自分を超えた偉大な力」への気づきが
霊的体験の本質なのだと
私たちの多くは考えている。


私たちが何よりも強調したいのは
どんなアルコホーリクでも
「自分を超えた偉大な力」への
信仰に対して心を閉ざさずに
自分の問題に正直に直面する事ができれば
私たちの体験に照らして
回復できるという事である。
障害となるのは
不寛容で攻撃的な否認の態度だけだ。


このプログラムの霊的な部分で
つまずくことはまったくない。
意欲と
正直さと
開かれた心とが
回復に必要な核心である。
これらなしに
回復はあり得ない。


飲まないで生きるためには
どんな事でもしようという意欲


あるがままの自分を受け容れ
そのままの自分で他の人と接する事ができる正直さ


耳を傾けるべき事に耳を傾け
考えるべき事を考え
感じるべきものを感じようとする開かれた心


あらゆる情報をはばむ障壁であり
あらゆる論争の反証となり
そして人間を
永遠に無知にとどめておく力をもった原理がある。
それは
調べもしないで
試してもみないで
頭から軽蔑する事である。

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